介護士は対人援助の専門職であり、その仕事の基本は利用者の日常生活を全般的にサポートとすることにあります。
とはいえ、介護サービスを利用する人の多くが高齢者であり、その中には重度の障害や疾病を抱えているケースも珍しくありません。このため介護現場では期せずして利用者の死に直面することも、少なからずあるのが現状です。特にターミナルケアやホスピスケアと呼ばれる、終末期の利用者を受け入れる施設で働く介護士であれば、人の死に立ち会う仕事も必然的に多くなるはずです。
いずれにしてもどのような介護現場で働くのであっても、介護士であれば看取り介助の基本的な知識は抑えておくべきでしょう。
まず看取り介助では利用者本人や家族の意思を尊重した上で、その人々が穏やかで不安のない安楽な時間を過ごせるように、できるだけ有意義な環境を整えることが、基本的な考え方になります。
例えば看取りまで本人の呼吸や皮膚あるいは意識などを細かく観察し、必要であれば呼吸がしやすいように安楽な体位に整えます。あるいは家族に悔いが残らないように、様々な配慮や支援を行うこともあります。
医師が利用者の死亡を確認し、家族や親族などがお別れに立ち会った後は、家族の了承を得た上で死後の処置を行うのも、看取り介助での仕事です。ここでは顔から順に清拭したり、胃や膀胱の内容物を排出する、あるいは衣類の着用や整髪そしてお化粧など、死後処置の様々なスキルが必要になります。